【製造のお仕事】わかりやすい、溶接のお仕事解説!

2018.08.14掲載
製造のお仕事関連

【溶接工とは】

『溶接』は製造業の中でモノ作りに欠かせない技術職の1つです。

【未経験で溶接工を目指して、手に職をつける】

『溶接』と聞いてどんなイメージを持っていますか?「お面を被り、火花が飛び、熱くて大変な仕事」「炎であぶって鉄と鉄を接合する」など連想するのではないでしょうか?『溶接』のことを自分に縁がないものと感じている方が多いのではないでしょうか。しかし『溶接』の技術は私たちの生活にとても密接に関わっています。

【『溶接』とは何か】

一般的に「材料を加熱・加圧して2つの材料を接合する」仕事です。鉄同士だけではなく、アルミニウムやクロムなどの金属、プラスチックのような樹脂も『溶接』することができます。『溶接』の種類には3つあり「融接」・「圧接」・「ろう接」と下図のように分かれ、4種のエネルギーを駆使して行ないます。

融 接 圧 接 ろう接
電気的
エネルギー
アーク溶接
電子ビーム溶接
【 各抵抗溶接 】
抵抗スポット溶接
プロジェクション溶接
シーム溶接
アプセット溶接
フラッシュ溶接
誘導加熱ろう付
(軟ろう付け=はんだ付け)
化学的
エネルギー
ガス溶接 爆発溶接 トーチろう付
(炎ろう付)
力学的
エネルギー
  常温圧接
摩擦圧接
摩擦攪拌溶接(FSW)
超音波圧接
拡散接合
 

エネルギー
レーザ溶接   光ビームろう付
レーザブレージング

1.融接は母材と溶加材、もしくはどちらかを溶かして『溶接』します。『溶接』のイメージとして最も知られている方法です、代表的例として放電現象(アーク放電)を利用した「アーク溶接」があります。
2.圧接は「自動溶接」や「ロボット溶接」でも使用される方法で部材同士をプレス機などで圧力を加えて材料を接合する方法です。鉄道のレールや自動車の部品などで多用されています。
3.ろう接とは、接合する部材より融点の低い合金を溶かし、接着剤代わりに複数の部材を接合する方法です。溶かす合金の融点が450°C未満のものを「はんだ付け」と呼んでいます。アクセサリーや家具などで多く利用されている溶接技術です。

1.溶接工とは

自動車業、造船業、鉄道関係、建設業などの業界で『溶接』を職業としている人達を溶接工と呼びます。溶接工として働くためには、後述した溶接技能者資格の取得や、工場や建設現場などで作業するための経験やスキルが必要になります。

2.『溶接』の作業で行うこと

『溶接』の仕事は「切断」、「接合」、「磨き」、「塗装」があります。

・切断とは

金属の材料を切断する作業です。専用のカッターや電動ノコギリを使い、材料を適切な形状・サイズに加工します。

・接合とは

加工した材料同士を接合します。製作する製品・目的に適した溶接方法で作業します。

・磨きとは

製品の表面についた「溶接焼け」などを研磨して除去します。単純に見た目が綺麗になるだけではなく腐食を防止する効果もあるため、最後まで気を抜けません。

・塗装とは

主に錆止めとペイントの2種類があり、錆止めはその名の通り、製品が錆びないように錆止めを塗布します。ペイントは必要に応じて製品に色を塗ることです。
 

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【『溶接』が必要になる場所やタイミングとは?】

・建築業界

『溶接』で作られる様々な構造物は高い技術や耐久性が求められ、高層建築や橋梁などで『溶接』の技術が活用されています。その他に水道やガスなどの配管に『溶接』が必要とされています。

・一般機械の現場

一般機械とは、主に自動車部品や発動機などの工業製品や配電盤・制御盤などの筐体のことを指します。今は工場のオートメーション化が進み『溶接』を手作業ですることは減りました。機械では難度の高い細やかな作業は人間の手で行う必要があるため、溶接工が求められています。

【溶接工が向いている人】

・じっくりと1つのことに取り組むことができる人

小さな細かい部品を加工する仕事もあります。製品にもよりますが1つ1つの工程を経て行かなければならい作業もあります。集中力が散漫な方・飽きっぽい方は向かないかもしれません。

・細かい作業を得意とする人

製品は見た目だけではなく、品質や性能も要求されます。また『溶接』の仕事は非常に繊細で高い技術が必要とされます。細かい作業が苦にならない方が向いています。

・正確に素早く仕事ができる人

どんな仕事にも納期はあります。技術や経験も必要ですが、段取りを上手く考え、スピードを意識した仕事を進められる方、効率よく工程を組める方ほど向いています。

・技術の習得に前向きな人

溶接工は職人の世界です。日々研鑽し、自身のスキルを常日頃から高めていくことが大切です。技術の習得に前向きな方は適正が高いです。

【未経験で溶接工を目指す方法とは】

未経験で溶接工に転職しようとする場合、公共の職業訓練校で技術を学ぶことが主流です。最大のメリットは卒業時『アーク溶接特別教育の修了証』が交付されることです。訓練所は再就職に向け企業とのパイプ役となり、卒業生を様々な企業へ即戦力として送り出しています。

【溶接工で必要となる資格は】

・アーク溶接特別教育

業務上の安全面や、衛生面のため、3日ほどの講習で取得が可能な資格です。資格がないと『溶接』の仕事に就くことができません。

・溶接技能者

溶接工にとって最も重要な資格です。資格の種類も多いので目標を決めながらレベルアップしていくとキャリアアップにつながります。下の表は技能者資格の一覧です。

資格の名称 対象材料 溶接方法
アーク溶接
(手溶接)
炭素鋼 被覆アーク溶接、ティグ溶接、ティグ溶接と
被覆アーク溶接との組合せ
ガス溶接
(手溶接)
炭素鋼 ガス溶接
半自動溶接 炭素鋼 マグ溶接、ティグ溶接とマグ溶接との組合せ、
セルフシールドアーク溶接
ステンレス
溶接
ステンレス鋼 被覆アーク溶接、ティグ溶接、ティグ溶接と
被覆アーク溶接との組合せ、ミグ溶接又はマグ溶接
チタン溶接 チタン、チタン合金 ティグ溶接、ミグ溶接
プラスチック
溶接
塩化ビニル、ポリエチレン、
ポリプロピレン
ホットジェット溶接
銀ろう付 ステンレス鋼、炭素鋼、銅 トーチろう付
すみ肉溶接 炭素鋼 被覆アーク溶接、マグ溶接
基礎杭溶接 炭素鋼管 被覆アーク溶接、マグ溶接、セルフシールドアーク溶接
石油工業
溶接
高張力鋼、耐熱鋼、
ステンレス鋼
被覆アーク溶接、ティグ溶接、ティグ溶接と
被覆アーク溶接との組合せ

各技能者資格には、それぞれ基本級と専門級の2種類ある上に、上図のように材料や方法で更に細かく分かれます。就業する業務内容で必要な資格も違い、作業の難易度が変わります。

・溶接管理技術者

溶接管理技術者資格は日本溶接協会が、溶接技術によって創られた構造物の品質保証を目的に制定された資格です。溶接施工と関連する作業や工程の総括的な計画と管理を行うことができます。

【溶接工の給料はどのくらい】

これから溶接工に就こうと検討されている方にとって報酬は関心のあることと思います。原則として勤務する企業・会社の規模及び『溶接』の業務内容で変わります。非正規雇用で採用された場合は時給制になります。経験やスキルが金額に反映します1時間で約1500円前後が多いようです。勤務する企業・会社によって、正規雇用だけでなく非正規雇用も月給制の場合が多く、経験やスキルで金額が変わってきますが、多くの場合は30万円程です。また、保有する資格や経験値で給与は変わってきます。賞与も企業・会社の規模の他に本人の経験・スキル、保有資格により変わります。努力次第では給与が50万円以上になる方もいるようです。造船所や高層ビルなどの危険な場所で行う溶接作業の方が年収は高くなる傾向です。構造物に高い性能や高い品質が要求される為、熟練の技術が必要になるからです。

【溶接工になるための第1歩。印象の良い志望動機】

どの就職試験でも志望動機は必ず尋ねられます。物創りの興味・自身の適正を伝え、技術の習得に関心がある。仕事にやりがいを感じるなど製作意欲があり、前向きな発言は相手に良い印象をあたえます。自身の言葉でしっかり答えられるようにしておきましょう。また、応募した企業が何を仕事にしているか、何を製造している企業なのかを前もって調べていくことは重要です。後で知ってからでは準備が遅れます。なぜ、多くの仕事の中から溶接工を選んだのか、また、溶接工は体力も必要な仕事です。あなたが長く続けられる人材なのか、多くの面接官が関心と期待を持って質問してきます。

【溶接技能者などの資格を取得するメリットとは】

資格が増えると手当てが付き、確実に収入アップに繋がります。技能者資格は基本級と専門級があり「アーク溶接」だけでも多様な種類があります。ですが、資格を取得していくことでできる業務・作業が増え、あなたの仕事の幅や信頼度もあがります。工場認定または官公庁から工事発注された際、『溶接』の現場に必ず一人は溶接管理技術者を常駐しなければいけないという必須条件があります。この資格を取得すれば施工作業や工程の管理を行えるようになり、あなたのキャリアアップのためにも積極的に取得してほしい資格でもあります。
 

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