今をときめくAIロボットやスマホなどに使われる部品を作る旋盤工。昔はハンドルを回しながら手動で作業した旋盤も、機械化が進み自動化され、働き方も変わってきました。知識や技術に優れた旋盤工は以前よりも需要があり貴重な存在です。また、技術がなくともプログラミング知識を身につけた旋盤工が活躍する時代に変わりつつあります。今後も技術革新が進み、様々な機械の基本部品製作の根幹を支える旋盤工について、お仕事の魅力、やりがいなどについてご紹介します。
【旋盤工のお仕事の魅力とは】
旋盤工といえば、高い精度の部品づくりを実現させてきた“モノづくりのスペシャリスト”。そんなカッコイイ旋盤工の仕事とは、一体どんな仕事なのでしょうか。
・工場の花形である旋盤工
旋盤工は工場の花形と言っても過言ではありません。ロボットもスマホもロケットも、旋盤で生産された部品がないと完成させることはできません。まさしく現代機械産業の支柱ともいうべきお仕事です。そんな旋盤工の仕事は、もともと汎用旋盤と言われる手作業で部品を加工するのが主流でした。しかし昨今、機械化が進み、NC(Numerically Control)旋盤と呼ばれるコンピューター内蔵の機械を操作して部品を加工するのが主流になりつつあります。
さらに汎用旋盤を使いこなせる熟練職人の高齢化で汎用旋盤を扱える旋盤工は少なくなっています。今後も精密部品の試作や特殊な素材を用いた部品作りに汎用旋盤での加工作業が欠かせません。ここに時代とともに汎用旋盤からNC旋盤へと移りつつあるものの、汎用旋盤が完全に消えることはない事情があります。
・旋盤工が活躍する現場
旋盤工が活躍する現場は、一般的に部品メーカーや金型メーカーの工場です。フリーの職人として活動したり、独立して事業を行ったりする方もいますが、それは旋盤工として極めて高い技術を身につけた上で起業する稀有な例です。ほとんどの人はメーカーの下請け工場に勤務することが多いようです。勤務体系は所属する企業の規定により違いがありますが、多くは会社員と同様で1日8時間労働・土日休みの場合がほとんどです。
また、製造業は常に効率化や製品の精度・品質向上を目指すのが常。現場では淡々と似たような部品を作り続けるイメージが強いですが、ただ作業を行うだけではありません。新しい技術を取り込みつつ、常に工夫しながらモノづくりに打ち込んでいます。こうしてでき上がった部品が最先端の機械に搭載されていることを考えると、とてもやりがいのあるお仕事ですね。
・汎用旋盤とNC旋盤
汎用旋盤とNC(Numerical Control=数値制御)旋盤がありますが、どちらも切削加工する工業機械であることは同じで、求められる技術や仕事内容が異なります。
1.汎用旋盤
普通旋盤とも言われる汎用旋盤の場合、機械を使った手作業のため、手先の器用さや慎重さが求められます。製造する部品に合わせて使用する旋盤、及び切削工具を付け替えて作業を行うため、経験を積み、技術を身につけることが重要です。
2.NC旋盤
NC旋盤の場合、切削作業はすべてコンピューター内蔵の機械が行います。熟練した手技がなくてもコンピューターに数値入力をすれば、自動的に高精細な部品を連続して加工ができます。コンピューター制御によって作業を行うため、大量に加工をしても製品のバラつきが少なく、自動で連続した作業が可能なため、製品を大量に早く作り出すことができます。
NC旋盤を扱う旋盤工の仕事内容は、コンピューターへの数値入力(プログラミング)・機械のメンテナンス・仕上がりチェックなどが主な業務になります。こういった作業を行う旋盤工はマシニングセンターオペレーターと呼ばれ、需要が高まっています。
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【旋盤工になるには?】
製造業界を支える旋盤工。手がける製品や旋盤工になる方法、スキルアップなどを紹介します。
・旋盤工が支えるモノづくり
旋盤工はスマホ・AIロボット・医療機器など、様々な業界で使われるネジやボルトなどの部品を作っています。ネジやボルトを作るというと地味な作業に思えますが、ネジやボルトがなくてはどんな高性能な機械も作れません。旋盤工は私達の生活になくてはならない部品を作り上げており、最先端技術の担い手であるといえます。そんな旋盤工が手がける精密部品はミクロン単位のズレも許されないことがあり、高い技術力が求められます。
今の旋盤業界は、こういった極めて精度の高い部品をNC旋盤で1日に数千個作ることができるようになりました。また社員1人が複数台のNC旋盤を管理することもあるため、根気と正確性が必要であるといえます。
・旋盤工になる方法
旋盤工になる方法として以下の3つの例をあげます。
1つは、工業高校での基本技術の習得を経て、就職する方法。新卒の人に多いパターンです。
2つめは、職業訓練校を経て就職する方法。転職した人に多いパターンです。
3つめは、未経験の素人から就職する方法があります。工業系の知識はゼロでも就職することが可能です。
工業勤務はなり手が減少している為、求人数が多く、研修制度が整っている会社もたくさんあります。見習いから一人前になるまで育ててくれる会社があります。旋盤工になるために必須の資格を取得する必要はなく、モノづくりへの情熱さえあれば、旋盤工のお仕事を志すことは可能です。業界に入ってからは日々勉強になりますが、技術の認定資格として旋盤による加工技術を認定する「機械加工技能士」があります。旋盤工としてスキルが証明できるため、持っているとよりレベルの高い仕事を任せてもらえたり、評価上で有利になることがあります。また、転職の際にもスキルの証明となり有利です。
・旋盤工のキャリアアップ
旋盤工のキャリアアップに有利な資格として前述した「機械加工技能士」の資格があります。工作機械による金属類の切削加工・研削加工・けがきなどに必要な技能を証明できる資格です。機械加工技能士の資格取得は旋盤工としての技術が認定されるため信用度を高め、持っていない旋盤工に大きく差をつけることができます。会社によっては手当てがつくこともあります。旋盤工でお仕事を続けていく以上、目指すことになる資格です。
この機械加工技能士には、特級・1級・2級・3級と、単一等級(等級を区分しないもの)があります。受検するには下記の実務経験が必要になります。検定職種に関する学科に在学する人及び検定職種に関する訓練科において職業訓練を受けている人も受検が可能です。
〈必要な実務経験〉
特級…1級合格後5年以上
1級…7年以上
2級…2年以上
3級…平成25年4月以降、6ヶ月に満たない実務経験でも受検可能に
単一等級…3年以上
機械加工技能士を受験する際の選択作業(実技試験)は、普通旋盤作業・数値制御旋盤作業・フライス盤作業・数値制御フライス盤作業など23種類あります。選択作業は級によって異なります。
・旋盤工の未来は?
実際に「全ての加工作業が近い将来、自動化したらもう旋盤工は必要ない?」という懸念はあるでしょうか?少し考えてみましょう。機械のメンテナンスや仕上がりのチェックは必要な知識を学んだ旋盤工でなくては務まりません。いくら機械化が進んだとしても、今のところ旋盤工の仕事がなくなることはないでしょう。またNC旋盤での機械作業や管理経験は、製造業への転職に有利に働きます。
【旋盤工の仕事における大変さとやりがい】
旋盤工は日本の産業を支える、欠かすことができないお仕事です。そして技術を身につければ手に職を持つことのできる安泰なお仕事でもあります。そんな旋盤工の職場環境とはどのようなものなのでしょう。
・技術を身につけたら一生安泰?
旋盤工の技術は会得するまでが大変です。特に汎用旋盤は、熟練工と言われるまでに多くの経験を積む必要があります、一朝一夕で身につけるという訳にはいきません。ですが旋盤技術を必要とする製造業は多くあります。技術を身につけた一流の旋盤工は転職しても重宝されます。就職口に困るということはありません。努力次第ではありますが一生安泰と言ってもいいでしょう。優れた技術を身につければ、転職する前に会社が辞めさせたくないため待遇も良くなり給与も上がるかもしれません。
NC旋盤やマシニングオペレーターもお仕事で得たプログラミングの知識や技術も、工作機械を扱う会社ならば転職のときに有利に働きます。
・厳しい職場環境でも活躍する旋盤工
旋盤工の仕事場は基本的にずっと工場内で工作機械と向き合うことになります。旋盤工になるからには、この機械油の独特の匂いに慣れる必要があるでしょう。また重い材料・資材などを運搬しなければいけないこともあり、ある程度の体力は必要になります。場所によって工場内は冷暖房設備がない所もあります。こういった職場環境で活躍するにはタフさを持たないと務まりません。モノづくりを楽しいと思える人でなくては、きつい仕事だと感じるのではないでしょうか。
しかし昨今は機械の自動化や労務環境の管理も進み、労働の負担の低減も進んできています。少しずつ工場の勤務環境も改善され、女性の旋盤工の活躍も珍しくなくなりました。
・旋盤は高品質なモノづくりの基盤
旋盤の仕事も高い精度の部品づくりが求められ、今後も世の中にたくさんの機器を生み出していくことでしょう。今はサブミクロン(1万分の1ミリ)といった、とてつもなく小さい単位で微調整できるNC旋盤も登場しました。旋盤業界では常に高品質なモノづくりのため、技術が進化しています。日本が誇る製造業が存続しているのは高度な製作を担う旋盤工が活躍している土壌があるからではないでしょうか?そしてこれからも旋盤の自動化や高精細化は進み、時代のニーズに合わせたモノづくりに適応していくことでしょう。
【旋盤工に向いているのはこんな人】
では旋盤工に必要なスキルや向いている人はどんな人でしょう。汎用旋盤を扱う職人になるのか、マシニングオペレーターになるかによって仕事内容が異なるため求められるスキルは違います。
・モノづくりが好きな人
モノを作るのが好きな人は旋盤工に向いています。汎用旋盤を扱う旋盤工の場合は1つ1つ加工前の物にブレがないか見極め、その物の大きさや形に合わせて切ったり削ったりして微調整を行うのが仕事です。職人の経験と技術がものを言うお仕事です。
・機械いじりが好きな人
旋盤の自動化が進んでいる現在では、プログラミングに興味がある人にもNC旋盤工もお薦めです。依頼された設計をみて、それを正確にNC工作機械に入力し、製品として再現するのが仕事となります。数値は入力するだけなので旋盤の技術は基本的に求められません。入力の正確性や慎重さが求められます。NC旋盤の操作が主流になりつつある今、機械に強い人の方が仕事に馴染み易い利点があります。
汎用旋盤、NC工作機械のどちらを選択するにしても細々とした作業が苦手、図面を見るのは好きではないという人は旋盤工には向いていないかもしれません。
【まとめ】
現在の旋盤業界はコンピューター制御されるNC工作機械による旋盤が主流になってきています。技術を会得するのに何年もかかった昔の旋盤と違い、今は仮に汎用旋盤を扱う技術がなくてもお仕事ができるようになりました。汎用旋盤の手仕事しかなかった昔に比べて年齢、性別を区別することなく、誰もが機械を扱いやすくなってきたため、身近なものになったと言えるでしょう。旋盤で得たプログラミング知識は、他の工作機械を扱う業種でも応用ができる強みになります。旋盤工は常に製造業界で活躍できる将来性のあるお仕事ではないでしょうか。
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