【製造のお仕事】わかりやすい、旋盤のお仕事解説!

2020.01.17掲載
製造のお仕事関連

旋盤とは、金属などの材料を回転し、工具を当て切削加工して部品などを製造する工作機械です。旋盤を用いて製品を加工する職業を「旋盤工」と呼び、機械生産における部品加工・生産の重要な部分を担当し、製造業では欠かせない役割の一つです。製造業に関わりがないとなかなか馴染みのないお仕事でもあります。今回はそんな旋盤工のお仕事や、旋盤機械として現在主流となっているNC旋盤についてもご紹介したいと思います。
そこで今回は、旋盤の特徴や種類などの基本情報に加え、旋盤を扱う旋盤工の仕事について紹介したいと思います。

【旋盤工のお仕事とは】

旋盤を使って金属や樹脂などを切削し、部品などを加工・生産するのが基本的な旋盤工のお仕事です。生産するものは働く現場により違いますが、ネジやノズルなど、細かい部品も多く扱います。旋盤には切削加工する際に使用する刃や工具、工作物のサイズの違いなどによって種類があります。加工方法は大きく
①旋盤加工:工作物を回転させ、固定した工具で切削する
②フライス加工:工作物を固定し、工具を回転させて切削する
の2種類に分かれており、また、旋盤は工作物を削って成形するだけではなく、
工作物に穴をあける「穴あけ」
穴を広げる「中ぐり」
ネジ山を作る「ネジ切り」
工作物を切削したまま最後まで切断する「突き切り」
など、生産物に応じた技術が存在します。種類によっては取り扱う旋盤や作業方法も異なるため、操作する際には事前に必要な知識や技術を身に付けておかなくてはなりません。以下に代表的な旋盤の種類をご紹介します。

・汎用旋盤

旋盤と聞いてまず思い浮かべる、旋盤工がついて作業を行う旋盤がこの汎用旋盤です。工作物をチャックと呼ばれる固定器具で保持した上で高速回転させ、バイトと呼ばれる切削工具を当てることで加工を行います。

・自動旋盤

製品の加工を自動で行い、同型の細かい部品を大量生産する際に活躍する旋盤です。工程を自動化することによって、細かい作業でも正確に、そして大量に生産できます。
・長い棒状の素材を連続して加工する「棒材加工(バーワーク)」
・素材を自動で供給する装置により連続して加工する「素材加工(チャックワーク)」
上記の2種類に分類されます。

・タレット旋盤

タレットとは、筒状になった旋回する刃物台のことで、タレットに10本以上の刃物や工具をセットすることが可能です。一つの工程終了後、タレットが回ることで他の工具に切り替えられるので、一度に複数種類の加工ができるという特徴を持っています。工程が終わるごとに工具を交換することなく作業が連続して進められるため、効率の良さがメリットです。

・正面旋盤

強度の高い主軸が付いた旋盤で、大きなものを加工する時に使用される機械です。外形寸法の大きいものを旋盤で加工するのは難しいのですが、工作物が動かないよう保持するチャックと呼ばれる部分に、チャックよりも大きい「面板」という保持具が付いている正面旋盤であれば、問題なく作業が可能です。

・立旋盤

正面旋盤と同じく大きいものを加工する時に便利な旋盤であり、刃物を垂直方向、上から下に動かして旋削を行う点が特徴の旋盤です。工作物を固定する主軸が垂直方向固定されているので、大きいものや重いものでも正確に加工できます。

・倣い(ならい)旋盤

特殊な加工工程のある物品を数多く生産したい時に便利なのが、見本を基にコピーを作り出す倣い旋盤です。元の工具の動きに倣って加工作業をする機能が付いているので、1つずつ製品を作る必要がありません。特に、曲面工程や段付き面工程などの複雑な動きが必要な物の連続加工に適しており、作業の時間短縮につながります。

・NC旋盤

モノづくりや工作機械に興味がある人、旋盤が身近な生産業の方なら知る人もいると思います。「NC(Numerical Control=数値制御)旋盤」は、工作機械に指示を与えるNC装置を通して精密な動作を自動で行う工作機械のことで、金属加工を行う工場で多く目にします。NC旋盤は内蔵コンピュータ制御で動作する「CNC(Computerized NC=コンピュータ制御)旋盤」が主流です。工場では、通常の旋盤だけでなく、より高度な性能を持つNC旋盤を操作する者も「旋盤工」と呼び、実際に様々な加工現場で活躍しています。金属を始め、様々な材料を削ってモノを作り出すことを「切削加工」と呼び、NC旋盤も切削加工を行う機械の1つです。主に鉄・ステンレス・銅・アルミ・チタンなどの金属を削って加工し、ネジやボルトなどを作ります。元々、切削加工を手作業ではなく、数値で自動制御する機械は「NC工作機械」と呼ばれ、国内では1950年代に導入されました。NC旋盤は自動操作が可能で、設定した数値の通りに金属を加工できるため歩留まり率も向上します。NC旋盤で作られたネジやボルトなどの加工品は、自動車や飛行機などの部品や医療機器、精密機器など様々なところで使われています。

【旋盤工の給料は】

・時給

持っているスキルや経験、資格によって大きく幅がありますが、1,000円~1,500円が時給の相場となっています。経験者はもちろん優遇されますが、近年では旋盤工として直接加工行わない、NC旋盤のオペレーター業務などもあり、未経験可の求人も出ています。

・年収

旋盤工の正社員としての年収は、約400万円が平均です。経験が重要な仕事ですので、勤続年数が長いほど給料は上がる傾向があります。

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【NC旋盤を扱う旋盤工とは】

旋盤を使って素材を加工する職業は旋盤工と呼ばれますが、昨今大型工場などで主流になりつつあるNC旋盤の取り扱いでは新たにプログラミングとオペレーティングの2つの業務が必要になっています。ここでは、それぞれの仕事内容について詳しく見ていきます。

・プログラミング

NC旋盤で効率良く作業を進めるためには、機械を動かすためのプログラミング作業が不可欠です。この仕事は、製品を完成させるために工具の動きを機械に指示する役割を持っています。特に細かい部品を大量加工するNC自動旋盤の場合は、0.01ミリ単位での作業になるので緻密さと慎重さが重要です。しかし、中には細かい設定をしなくても動かせる対話式プログラムが備わったNC旋盤もあります。対話式の場合は自動計算が可能で、入力や再設定の手間が省けるため工数削減にも役立っています。

・オペレーティング

NC旋盤にプログラミングを指示した後に、実際その通り機械が動くかどうかを確認することも重要です。オペレーティングはその動作確認をする役割であり、機械が正常に動き、指定した通りの加工が行われているかどうかをチェックします。完成品の状態も見ることになるので、製品として出荷できるものかを見極める大事な仕事です。業務としては、直接NC旋盤を設定して稼働させるわけではないので、NC旋盤に関わる仕事が初めての人や、経験が浅い人が先輩と一緒に最初に取り掛かることも多い作業です。機械がどのように動いているかを見ることで機械への知識が深まり、より精度の高いものが作り上げられます。動作確認以外にも、機械の清掃や管理などのメンテナンス作業も役割の1つです。

【旋盤工に役立つ資格】

旋盤工になるために必須となる資格はありませんが、旋盤工として作業をしていく中で役に立つ資格があります。機械加工技能士という資格で、旋盤工の作業におけるスキルアップに役立つ知識や技術を得られるものです。

・機械加工技能士の資格とは?

金属製品の加工技術のスペシャリストを定める国家資格であり、NC旋盤工の作業にも役立つ技術を身に付けられます。知識が求められる学科試験と、高度な技術が必要な実技試験を行い、多くの作業科目をクリアすると資格を取得できます。NC旋盤工に活かされる科目は、プログラミング作業に役立つ数値制御旋盤に関するものです。

・試験内容

機械加工技能士の試験は、共通科目の他に作業ごとに分けられた選択科目を受験する仕組みになっています。学科試験は1~3級まで共通の8科目と選択科目を受験し、選択科目に準じた作業の技能試験を実施します。NC旋盤工に役立つ作業科目は、数値制御旋盤作業・数値制御フライス盤作業・数値制御ボール盤作業など6科目です。1~3級まで共通して受験できるのは数値制御旋盤作業で、他の作業は1~2級のみの受験になります。

・資格取得条件

機械加工技能士の資格には1・2・3級があり、1級・2級には資格取得に必要な条件が定められています。
1級は7年以上の実務経験、もしくは2級合格後2年以上の実務経験、3級合格後4年以上の実務経験が必要です。
2級の場合は、2年以上の実務経験を持った人か、3級合格者が対象です。
3級は特に条件がないので、NC旋盤工を目指している人や始めたばかりの人におすすめの資格と言えます。

・受験料

資格取得の受験料は、学科試験が3,100円、実技試験は17,900円となっています。ただし、この金額は標準金額であり都道府県によって違う場合もあるので注意してください。各都道府県に職業技能開発協会が設置されているので、詳しい受験料を問い合わせてみてください。受験の申し込みも都道府県職業技能開発協会からでき、受験申請書を提出することで資格試験を受けられます。

【まとめ】

普段何気なく使っている工業製品である自動車・飛行機・医療機器・精密機器など、全ての製品では、旋盤での加工を通じた部品が使われており、現代社会を支えている仕事と言っても過言ではありません。精密作業が要求されるため慣れるまでは大変かもしれませんが、ものづくりの最前線で活躍できる旋盤のお仕事にぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか?

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